聖霊を信ず 〜伝道の幻に生きる〜

ヨハネによる福音書 3115

狛江教会牧師 岩 田 昌 路

 

さて、彼らはアジア州で御言葉を語ることを聖霊から禁じられたので、
フリギア・ガラテヤ地方を通って行った。
ミシア地方の近くまで行き、ビティニア州に入ろうとしたが、
イエスの霊がそれを許さなかった。
それで、ミシア地方を通ってトロアスに下った。その夜、パウロは幻を見た。
その中で一人のマケドニア人が立って、
「マケドニア州に渡って来て、わたしたちを助けてください」と言ってパウロに願った。
パウロがこの幻を見たとき、わたしたちはすぐにマケドニアへ向けて出発することにした。
マケドニア人に福音を告げ知らせるために、神様がわたしたちを召されているのだと、
確信するに至ったからである

(使徒言行録16610節)

ペンテコステ(聖霊降臨日)と呼ばれる日を迎えました。
復活の主の約束通り、祈り続けていた群れに聖霊が満ち溢れ、そこに主の福音を生き生きと宣べ伝える
教会が誕生しました。
教会が信じている唯一の神は、「父・子・聖霊なる神」と告白されます。
「三位一体の神」とも言い表されます。三つのペルソナ(面・役割・働き)を持つ唯一の神という意味です。
聖霊は神ご自身であり、神は聖霊として教会や人間を用いて世に働かれます。
教会はいつも聖霊の導きを祈り求めて生きる群れです。


さて、冒頭の聖書の言葉は、聖霊の働きを証ししています。
「聖霊から禁じられたので」「イエスの霊がそれを許さなかった」という言葉があります。
どちらも聖霊の働きのことです。
使徒パウロの一行の伝道計画が思うようにいかなかった現実がこのように言い表されているのです。
彼らの計画が挫折して八方塞がりになる。しかし、実はこれが世界伝道における大きな転機となる。
使徒パウロの一行は、あとになってそれを確信するのです。


 使徒パウロの一行は、困難な現実に直面しますが、
トロアスの寒村で伝道の幻を与えられてマケドニアに赴くことになります。
トロアスからの船出は当初の計画にはなかったことです。しかし、それが神の計画であったのです。
実はこれを機会に、主の福音は海を越えてヨーロッパに広げられていきます。
アジア州で人が多く集まる場所に伝道することが計画されていましたが、
伝道旅行のさなかで主の福音がアジアからヨーロッパへと広げられる伝道の幻が示されるのです。
主の福音は人間の計画を遙かに超えて、私たちの国にも運ばれて来ました。
教会の伝道の歴史とは、聖霊なる神の働きの歴史のことなのです。


私たちの仕える狛江教会も、使徒言行録が記録する初代教会と同じように、伝道の使命に生きる教会です。
私たちが伝道のために身を起こす時、困難に直面し挫折するようなことがあります。
大きな海を目の前にして途方にくれるようなことがあります。人間の力ではどうにもできないことに直面します。
しかし、教会は人間の計画ではなく、聖霊の導きによって神の計画に生きる群れなのです。


使徒パウロの一行は、マケドニアの人々の叫びを聞いて、すぐにトロアスの港から出発しました。
神は具体的な出会いの中で誰かに福音を告げ知らせるために、私たちをも召されるのです。
神が私たちを必要としておられます。こんなに幸いなお召しはありません。